太平洋側に広範囲で接する地域(高知県を含む)は、そう遠くない未来に大規模地震と津波による甚大な被害を被ると考えられています。研究者の中には、これより先20年以内に南海沖大地震の発生する確率を50%と見積もる方もいらっしゃるようです。特に高知市南部は、高波を生じやすい入り組んだ湾を形成し、津波対策が必要不可欠と思われます。高知県に限らず、日本は地震大国と呼ばれるほど多くの地震に見舞われる国です。日本各地において、揺れへの対策、甚大な被害を招く津波への対策を可及的速やかに行わなければなりません。
津波対策には
1. 防波堤などの拡充
2. 津波早期警戒のための観測システムの構築
3. 一時避難のための津波避難ビルや防災拠点の建設
等の総合的な対策を進めなければいけません。
先日の港湾空港技術研究所の見学時に、高波対策として開発中の「直立浮上式防波堤」について説明を受けました(右写真)。津波発生時には、あらかじめ沈めてる本装置(円柱状の鋼管)を浮上させることで津波の威力を減衰させることができます。大規模な工事も必要なく比較的低いハードルで導入できるとのことですので、深刻な津波被害に見舞われる可能性の高い高知においては、その沖合いに優先的に導入できるよう尽力していきたいと思います。
津波の際には、高波を凌げるような避難場所の有無も重要となります。現在設置が進められている津波避難ビルは、襲来する津波からの避難場所として活用されます。従来、津波が発生した場合は、高台や山などへの避難を想定していました。しかしながら、警報からわずかの間にそのような場所に避難するのは、高齢者の方々には困難でもあり地形的に適さない場合もあります。そこで考案されたのが津波避難ビルです(右下の写真:香南市夜須中央公民館)。
堅固な中・高層建物を改修し、一定の条件を満たすことで津波避難ビルとして利用できます。その導入に際する敷居の低さから、高知県全体ですでに71箇所が津波避難ビルに指定・整備されています。津波避難場所の純増は、避難計画の柔軟性が増すなどの副産物も生み出しています。